日本から海外ブランドのこども服などを個人で通販する際、受取時に関税の支払いが必要なのか気になりますよね。私自身は日本で何回か個人輸入をする中で支払った経験はありませんが、ただただ運が良かっただけかもしれません。
(個人輸入時に発生する関税についてはこちらの記事では記載していませんが、DHLの日本語サイトで詳しく解説されていますので参考にどうぞ)
しかし最近これと似たような事が、逆のパターン、日本から欧州でも頻繁に起こるようになってきました。
ドイツにて日本からの荷物を受け取る際に関税を支払う事態があったので、その際に関税について少し調べてみました。
どんなケースにおいて関税の支払いが発生するのか、日本から荷物を送る際にどんな事に気を付けたらいいのか、私の経験と検証をシェアしています。
関税の支払いが発生するケース
結果から言うと、
今まで、45ユーロ以上の荷物を受け取った場合でも支払いが発生しなかった方も多いと思いますが、それはただただラッキーだっただけ。
私も今まで支払いを請求されたことはありませんでしたが、今回45ユーロ以下の荷物でも関税がかかってしまったので、原因を検証してみました。
関税支払い頻発の原因は?
最近になって関税の支払いが頻繁に発生しているのは、2021/7から施行されているEU付加価値税(VAT)規則の変更が原因と思われます。
コロナが理由かと思っていましたが、これは中国に対するEUビジネスの保護が目的です。EU外からの荷物に対して関税がかかるのは日本からだけではなくアメリカや中国、オーストラリアからも同じ。欧州に住む日本人に限らず、多くのヨーロッパ人の間でも、EU外からの荷物の受取時に関税の支払いが生じる事に戸惑う声があります。
贈答品と通販の違い
欧州外からの荷物は、贈答品、通販の2種にカテゴリーされ、扱いが異なります。
以前までは(現在でも!)贈答品であれば45ユーロまでのものは関税が免除されます。
航空便でも船便でも、今まで日本からドイツへ送った荷物で受取時に関税を支払った事はありませんでした。通販とかではなく、金銭やり取りの発生しない個人的な荷物の送付です。
なお、45ユーロから700ユーロの物に対しては、贈答品であっても内容物の17.5%の関税がかかります。
一方、通販や越境ECに関しては今まで22ユーロ未満ならVAT税が免税でしたが、今回2021/7からのVAT規則変更により免税措置が廃止されました。
通販でEU外から購入したものは何であれ、基本的に消費者が受取時にVAT税(ドイツであればだいたいの物は19%)を支払う必要があります。
税関/Zollに問い合わせた結果
今回、受取荷物の内容品が45ユーロ未満だったにも関わらず、関税の請求がありました。
配達員(おそらくDHLではなく手紙配達のPostの人)が直接徴収することができないとのことで、不在ではなかったのに集荷所まで荷物を取りに来て支払いをするようにという伝票が入っていました。
窓口で「45ユーロ未満のものは課税対象ではないですよね?!」と説明しても無駄なのは分かっていたので、とりあえず支払いをして荷物を受け取りました。担当部署が違うので、窓口の人にはどうすることもできません。後に税関へ連絡し、手続きをすると返金が可能です。
実際にDHLに支払った額は?
ちなみに荷物受取時の伝票明細は以下の通り。
Zoll 7.3ユーロ
Auslagepauschale 6ユーロ
関税と保管料合わせて13.3ユーロ。
返金手続きは可能ですが、それぞれ管轄が違うので、別々に返金の申請を行うことになります。
返金手続きの流れ
なぜ今回課税されたのか知りたかったので、税関宛にEメールで問い合わせをしてみました。
記載したのは、日本からの贈答品であること、本来なら免税される45ユーロ未満であること、この7.3ユーロは何に対して課税されているのか、などです。
返信では、おそらく贈答品である事を見落とされたのだろうという結果でした。そして丁寧にも、以下のような手続きで返金ができるという旨を教えてくれました。いずれも期限内に手続きを行う必要があるそうです。
- 明細書の発行
Einfuhrabgabenbescheidを発行すると関税の内訳が分かるとのこと。DHLのサイトから申請できます。 - 関税の返金手続き
関税の返金手続きはZollのサイトからAntrag auf Erstattungフォーマットに必要事項を記入して郵送。リンク先からフォーマット番号0223を入力すると検索できます。 - 保管料の返金手続き
こちらのDHLサイトから口座番号など必要事項を記入して申請します。
簡単に返金手続きができるならやってみようかと思いましたが、2の工程が結構面倒で、13ユーロ返金の手間と時間に見合わないと思い止めてしまいました。
明細書を取り寄せるところまではやりましたが、中身を見てみると38.4ユーロの中身に対し、19%のVAT税が課税されていることが判りました。ということは、内容物が45ユーロ以上と判断されて課税された訳ではなく、通販品だと勘違いされたようです。
中には食料品もあり、きちんとインボイスに記載しているのに19%の課税でした。本来なら食料品は7%なはずです。
日本から荷物を送る際に気を付けたいこと
海外にお住いの方は、ご家族から日本の食材やこどもへのプレゼントなどを送ってもらう機会も多いと思います。
そんな時、受取時に関税を支払わなくて済むようにするには、荷物を送る際に以下のことに気を付けることをおすすめします。
- 内容物は45ユーロ未満
- 見た目が通販っぽい段ボールは使用しない
- 商用品と勘違いされないよう、同じものを複数個送らない
- 繁忙期を避ける
アマゾンjpなどの段ボールを再利用してしまうと、荷物を見た担当者が欧州外からの通販品だと勘違いしやすいと思います。段ボール側面に手書きで「Gift」と書いたりして工夫するといいかもしれません。
本来ならば支払う必要のない関税の徴収は、税関やDHLへも多くの苦情が届いていると思います。早く何らかの対応を行って改善されることを願います。
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